2018年2月7日(水)

▼鈴鹿市の運動施設18施設の指定管理者を民間業者に委託する議案を同市議会文教環境委員会が否決した時、傍聴していた四日市市体育協会幹部が上機嫌で拍手し、会議室を後にしたという。同市体協は非公募で市から同市体育施設の指定管理者になっている。地域的、人的に近い隣市のスタイルを鈴鹿市体協が目指したことが、鈴鹿市の約十年にわたる指定管理者を巡る混乱の引き金になった

▼転機は平成25年度の「公の施設の指定管理者選定委員会」。突然、非公募の提案が市側から諮問され、委員会は押し切られる形で「了とした」。変更する場合は「もう少し早い段階で意見を求める」ことと意見につけたのが、委員会の精いっぱいの抵抗といわれた

▼市が非公募を提案したのは国体への体制整備が名目。実際は市OBが幹部に連なる体協が議会で否決を目指す動きを見せたことが原因といわれる。以前も議会に働きかけて僅差で退けている。市は再び議会が混乱することを恐れたとされる

▼選定委が今回、市側の非公募継続案を拒否して公募を答申した結果、議会の委員会、本会議が二分され、公募候補者の民間業者と、選考に漏れた体協が全面対決の様相を見せた。市の懸念が非現実的ではなかったことを証明した

▼指定管理者制度は天下りや職員数減など、多くの問題点が指摘されているが、鈴鹿市の場合、利権争いという特異な形で表面化した。背景には、四日市市スタイルに対する多くの体協の羨望がある。末松則子市長は今後について国体開催時期にこだわらず慎重に検討していく考えを示している。