三重県庁は人事の季節を迎えた。本年度末で60歳の定年を迎えるのは5人。さらに改選を来年4月に控えた知事任期の最終年度とあって、来年度人事は小規模異動が見込まれる。数少ない目玉人事の中、焦点は鈴木英敬知事の肝いりで、健康福祉部が1部2局制から「医療保健部」と「子ども・福祉部」=いずれも仮称=の2部制に改編されることに伴う人事だ。平成30年度幹部人事を展望する。(年齢は3月31日現在)。
60歳定年を迎えるのは、松田克己健康福祉部医療対策局長▽村木輝行地域連携部スポーツ推進局長▽水谷優兆県土整備部長▽城本曉会計管理者兼出納長▽福田圭司議会事務局長―の5氏。
健康福祉部は2部に分かれ、部長級ポストは3から1減となるため、通常なら田中功健康福祉部長(59)が医療保健部長、福永和伸子ども・家庭局長(57)が子ども・福祉部長にシフトするのが妥当。
が、特に医療分野は専門性が高く、医師会など関係団体との人脈や付き合いが必須なことから、新設の医療保健部長は医療畑を踏んだ人物が登用されるのではとの見方が出ている。
次長級からの昇格ポストではなく、現行部長からの登用が見込まれ、その場合は「剛腕型」の福井敏人防災対策部長(58)や、現医師会執行部にも顔が利く「調整型」の井戸畑真之環境生活部長(58)の名が挙がる。もともと国ポストだった医療対策局長に就任し、汗をかいている松田氏の定年延長を見通す声もある。
水谷県土整備部長の後任には、渡辺克己同部副部長(公共事業総合政策担当)=58=が濃厚。同部長ポストは「事務屋」に奪われた過去の経験から、数代先まで「技術屋」で固めた鉄壁の人事レールを敷いているとされ、内部抗争でもない限り波乱はなさそう。
今回の注目は健康福祉部の再編だとして、最もざわつかせているのが議会事務局長人事。「誰が議会に行くか。すべてはそこから始まる」(県幹部)と戦々恐々。というのも、同ポストは部長経験者が就任する「格の高い」重量級ポストなのだが、政治家相手に敬遠する行政マンも少なくないのが実情。知事があまり重きを置いていないのではとの声ももれる。
名前が挙がるのは田中健康福祉部長や福井防災対策部長、水島徹監査委員事務局長(58)。田中氏の場合、観光局長、環境生活部長と毎年1年で異動。定年まで残り1年となり、仮に議会となれば「さすがに都合よく使い回されすぎでは」(庁内)との同情論もくすぶる。
就任以来、女性の積極登用を進めている鈴木知事だが、廣田恵子教育長(60)が突出しているだけで、いまだ「お飾り」感がぬぐえない。そんな中で、議会事務局長あたりに女性を登用するのも一手だ。
現在、関西事務所長を2年務め、本庁への戻りが予想されている湯浅真子氏(57)のほか、伊藤久美子南部地域活性化局長(58)、河口瑞子観光局長(57)の女性3部長がそろい踏み。湯浅氏は環境生活部長の見方も出る。むろん適材適所が前提だが、人が尻込みするようなポストへの女性登用にも期待したい。
村木スポーツ推進局長は定年延長も予想される。同局は来年度「国体・全国障害者スポーツ大会局」(仮称)に変更。今年7月にインターハイが開催され、スポーツイヤーとして力が入る県として引き続き手腕を発揮してもらいたいところ。ただ、来年度末に部長級の定年者が大量発生することから今回、延長者が出ることには懐疑的な声も。後任となれば●日出夫地域連携部副部長(56)か。
ほかに部長級の横滑りでは、東京事務所長から異例のコースをたどった信田信行四日市港管理組合経営企画部長(58)らの異動も予想される。
次長級からの昇格では、健康福祉部の再編で部長級ポストが1人減る上、関西事務所長が次長級に降格するとの見方がもっぱら。非常に狭き門で、有力者でも据え置かれるとの声も。適齢者として横田浩一戦略企画部副部長(56)、日沖正人総務部副部長(56)、高間信夫同副部長(56)、前田茂樹農林水産部副部長(57)、喜多正幸県土整備部副部長(56)らの名前が挙がる。
※注:●は点が一つの辻