在留資格「特定技能2号」を取得 紀北町で働くインドネシア人女性 農業は三重県内2人目

【在留資格「特定技能2号」を取得したフェロニカさん=紀北町長島で】

【北牟婁郡】三重県紀北町長島の農事組合法人「ファクター」で働くインドネシア人女性クリスティアナ・フェロニカ・センビリンさん(35)が、外国人労働者の在留資格「特定技能2号」の試験に合格した。永住権申請と家族帯同が認められる難関資格で、農業分野では県内2人目の快挙。フェロニカさんは「同郷の実習生の手本になりたい」と日々仕事に励んでいる。

フェロニカさんは平成26年8月、同法人グループのインドネシア人技能実習生第1号として初めて来日した。町内の洗卵選別場などで3年間経験を積み、いったん帰国。令和2年11月、最長5年働ける「特定技能1号」で再入国した。

主な作業は、町内外にある5つの養鶏場から届く卵を選別機にかけ、パック詰めする。選別場には一日20万個、SS―3Lの7サイズが集まるという。パックの形状やラベルは出荷先ごとに異なるため、30通り以上の組み合わせがある。

来日当初は作業を覚えられず、何度も帰国を検討したものの「中国人の先輩が優しく教えてくれた」と、実習生らの支えで乗り越えた。社風はもちろん、沿岸部の自然環境にもほれ込み、昨夏には「ずっと日本で働きたい」と受験を決めた。

1月下旬にあった試験は全て日本語で、畜産全般や衛生管理など、専門知識を問われる。月2回の日本語教室で語学力を鍛えたほか、同法人も参考書を贈ってフェロニカさんを後押し。試験勉強と業務を両立させ、一発合格をつかみ取った。

現在は同郷11人を含む実習生15人と寮で共同生活を送る。多くが所帯持ちで、フェロニカさんも例に漏れず、夫と息子(6つ)を母国に残す。最年長として「仕事では厳しく指導するが、寮では相談にも乗る」と、あめとむちを使い分ける。

フェロニカさんは「同郷の後輩もでき、今の職場に満足している。家族を呼び、夫と一緒に働くのが夢」と感謝。塩飽克次社長(49)は「頼もしく欠かせない存在。彼女の希望をかなえ、今後も実習生の先生として働いてほしい」と期待した。