
【鈴鹿】三重県鈴鹿市阿古曽町の日本画家、岩田隆さん(62)は25日、同町の鈴鹿カルチャーステーションで個展を開き、新作を中心とした日本画47点と水彩画15点を展示した。30日まで。
岩田さんは5年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。病状が進行する中、現在は一日6時間程度制作活動に取り組むとともに、同所で絵画教室の講師も務めるなど、精力的な活動を続ける。
2年ぶりの個展で、今回のテーマは「愛しきものたち」。前だけ見て進む牛の姿に自分を重ねて描いた150号の大作「行く」や、枯れたミモザと満開のミモザの対比で「生きているものもやがて朽ちていく」という死生観を表現した140号の大作「月と日」など力作の数々が並ぶ。
昨年度の県展で優秀賞を受賞した「南米回想」は、何事にも動じずに生きたいという自身の思いをカピパラの姿に投影したという。
熱心に作品を見ていた来場者の磯部三枝子さん(75)=四日市市塩浜1丁目=は「病気が分かっても精力的に描いている姿に元気をもらっている。たくさんの人に見てもらいたい」と話した。
岩田さんは「生きていることの輝きやはかなさを感じてもらえればうれしい。今後も『命の輝き』を描いていきたい」と話した。