シベリア抑留犠牲者悼む 津で三重県慰霊祭、遺族ら献花

【祭壇に献花する参列者=津市久居野村町の陸軍墓地公園で】

【津】全国強制抑留者協会三重県支部は20日、津市久居野村町の陸軍墓地公園内のシベリア抑留死没者慰霊之碑「平和の礎」前で、令和7年度・第25回「シベリア抑留関係者三重県慰霊祭」を開いた。抑留体験者や遺族ら40人余が参列し、黙祷と献花で犠牲者を追悼した。

第二次世界大戦終戦後、在満日本軍人、開拓団・義勇軍、看護婦など約60万人が旧ソ連軍によってシベリア各地に強制拉致され、そのうち6万人余の尊い命が極寒の地で飢餓と重労働、疫病などで奪われた。

抑留体験者の野原國雄支部長(100歳)は体調が優れず欠席。代わって、金子堅二副支部長(75)が「皆様のご尽力で今年も慰霊祭が実施できて感謝です。世界の至る所で戦争が起こり危惧している。戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に伝えていきます」と式辞を述べた。参列者は祭壇に白菊を献花した。

抑留体験者の稲垣貞次さん(94)=津市久居新町=は「戦後80年。戦争は絶対にしてはいけないと子々孫々に語り継いでいかなければ」と語った。一般財団法人全国強制抑留者協会の山田秀三会長(107歳)から寄せられた追悼の詞が読み上げられた。サクソフォン奏者の一尾郁美さんの伴奏に合わせ、参列者全員で「異国の丘」などを合唱した。