丹羽文雄収集の美術品を解説 四日市で講座

【川端さんの解説を聞く参加者=四日市市本町の本町プラザ3階のはもりあ四日市で】

【四日市】三重県四日市市出身の作家丹羽文雄(1904―2005年)が収集した美術品について解説する出前講座が17日、同市本町の本町プラザ3階にある「はもりあ四日市」の会議室で開かれ、市内外から19人が参加した。

郷土の歴史や文化を学ぼうと、同市のシニアサークル「男の囲炉裏(いろり)端」の会(志田米蔵代表)が主催し、市立博物館の学芸員の川端蒼海(あおみ)さん(26)を講師に迎えた。昨年も同じ時期に歴史散策の会を催し、川端さんの案内で市内の丹羽ゆかりの地を巡ったという。

丹羽は同市浜田町の「崇顕寺」の長男として生まれた。28歳のとき家出同然で上京し、流行小説家となった。文壇の第一線で活躍する一方で私費を投じて同人誌を発行し続け、後進の育成にも努めた。自宅(東京都武蔵野市)の応接間に多くの美術品を飾り、文学を志す者なら紹介者がいなくても、初対面でも応接間に通した。

川端さんは丹羽の生い立ちから収集した絵画や工芸品の一部を紹介し、解説した。参加者からの質問などにも答え、「百歳まで長生きしてすごい」との声に、川端さんは「丹羽はゴルフが好きで、よく歩いた。特別なことはしていないが、食生活には気を付けていたのでは」と話した。

市立博物館は、丹羽が収集した絵画や工芸品約80点を所蔵する。同館3階にある丹羽文雄記念室には、丹羽の自宅の応接間が再現されている。