
【四日市】かぶせ茶の産地として知られる四日市市水沢町で、廃ウールを肥料として活用し栽培した環境に優しいお茶ができた。ウールには、農作物の成長に必要な窒素やリン酸、カリウムの成分が含まれているという。四日市農芸高校(同市河原田町)と、紳士服地メーカーの「御幸毛織」(名古屋市)、マルシゲ清水製茶(四日市市水沢町)の三者で取り組んだ。
四日市農芸高校と御幸毛織は4年前から、ウールの肥料としての実効性を確かめる共同研究を続けてきた。同社は四日市工場(同市中川原)で糸を作る際に出る廃材となったウールを有効活用したいと考えていた。
同校に隣接する農場で、ウールを混ぜた土と、土のみで野菜を育ててみたところ、ウールを混ぜた土の方が成育が早まるなど、肥料としての効果が確認できた。
そこで次は商品化を目指し、同校と交流のあったマルシゲ清水製茶に協力を依頼。令和四年からは水沢町の茶畑で、廃ウールを肥料として使う取り組みを始めた。生徒らも畑に出向き、手作業で土の中に廃ウールを埋めた。
関係者は作業をすることによる茶の木に与える影響を懸念していたが、翌5年には茶葉を収穫することができ、昨年10月に商品化した。
こうしてできた「ウールで育てたお茶」は、かぶせ茶とほうじ茶の2種類あり、3グラム入りのティーバッグが10個入っている。ティーバッグの素材も環境に配慮し、植物由来の生分解性フィルターにした。マルシゲ清水製茶が運営するカフェで販売し、オンラインサイトからも購入できる。市のふるさと納税返礼品にも採用されているという。
今回の取り組みに携わった同校食物生産コース3年の蔵城¥ルビ(劉,みずち)さん(18)は「環境にも優しく、まろやかなうま味のあるお茶を、ぜひ味わってみてほしい」とPRした。