2025年2月14日(金)

▼このところ県当初予算案の数字を語呂合わせして特徴にする習慣は見かけなくなった。一見勝之知事は新年度予算案を「みえ未来基礎固め予算」と命名したが、一般会計8365億5200万円という数字とは何の結びつきもない。県民生活に密接に関わる予算案も、だからたちまち県民は忘却のかなたになっていくのではないかと心配したのは、ほんのついでというものである

▼一期の最終年度になって「みえ未来基礎固め」予算というのもピンときにくい話だ。最終年度に未来への基礎固めをし、それをどう生かしていくかは「次の知事が考える」(一見知事)というのも、バトンを受け継ぎ、次の走者に渡す知事としては立派なスタンスだが、4年での仕上げを放棄したかのようで無責任のそしりもあるのではないか

▼「基礎固め」としては▽南海トラフ地震対策▽子育て支援▽人材確保対策▽インバウンド(訪日観光)振興などに重点配分したという。いずれもスローガンじみて、具体的に集中して取り組む目玉事業に乏しい。県がどこを向いて、何を目指していこうとしているのか、県民に分かりにくい。一体感などは生まれようもない

▼今年は税収が好調で、シーリングどころか、要求を上回る異例の予算がついたという。大盤振る舞いというやつか。うらやましい限りだが職員は予算獲得に際し最も知恵を絞る種族といわれる。唯一の知恵の出しどころが今年はなかったとすれば気の毒ではある

▼未来へ固めたはずの基礎が弛緩(しかん)して穴だらけになっていなければ幸い。