粥占い、稲作今年は「早生」 津・河芸町北黒田地区の伝統行事 三重

【竹筒の飯粒を確認する鈴木会長(左端)ら=津市河芸町北黒田の北黒田公民館で】

【津】三重県津市河芸町北黒田地区に室町時代から伝わる「世だめし粥(かゆ)占い」が9日、同町の北黒田公民館であった。粥に入れて炊いた竹筒3本に入った飯粒の量で今期の稲作を占い、今年は「早生(わせ)」の結果が出た。

同地域は古くから農耕が盛んで地元産のコシヒカリは「黒田米」として人気が高い。粥占いは室町時代に五穀豊穣を願って大般若経(だいはんにゃきょう)全600巻を写経した頼恵(らんけい)和尚の遺徳をしのび1489(長享3)年に始まった記録がある。現在は北黒田自治会で作る保存会が継承しており市無形民俗文化財に指定されている。

コロナ禍とインフルエンザの流行で長く人数を制限しており通常開催は6年ぶり。地域住民ら約40人が参加した。前日にたいて取り出した3本の竹筒を前に、四天王寺の倉島隆行住職らによる大般若経の祈とうがあり、続く涅槃会(ねはんえ)の勤行では参加者が共に読経した。

【倉島住職(左端)らによる大般若経の祈とう=津市河芸町北黒田の北黒田公民館で】

読経後、同自治会の鈴木達也会長(69)が早生、中生(なかて)、晩生(おくて)の目印を付けた長さ10センチほどの竹筒を順に開き、早生に最も多い飯粒を確認した。

地域学習で同行事を学び、初めて参加した市立黒田小4年の正木善崇さん(10)は「伝統がちゃんとつながれていてすごいと思った」と感想を述べた。

鈴木会長は「皆が協力し集まる機会として大切に続けていきたい」と話した。