三重県が来年度、事業所の価格転嫁や取引の適正化を推進する課長級の担当監を雇用経済部内に新設する方針を固めた。価格転嫁の推進などを兼務で担当する次長級職員も配置する。来年度の組織改編に合わせて発表する方針。関係者が明らかにした。
関係者によると、担当監は県内の事業所が原材料費やエネルギー価格、労務費などの高騰分を商品やサービスに転嫁しやすい環境を整備する。取引の適正化に向けた取り組みも担う。
県は支援員の配置やフォーラムの開催を通じ、事業者に価格転嫁を促してきた。昨年4月には、相談対応などで連携することを定めた「三重共同宣言」を、官民の14団体と発出した。
一方、県中小企業団体中央会が実施した本年度の「中小企業労働実態調査」では、回答した434事業所のうち「価格転嫁を実現した」と答えたのは48・6%と、半数を下回った。
雇用経済部の担当者は取材に「取引先との力関係などから、中小の事業所は価格転嫁がしづらい状況にある。価格転嫁が進むよう、来年度は取り組みを強化したい」と話している。