【鈴鹿】三重県鈴鹿市の末松則子市長は29日の定例記者会見で、車を所有する生活保護受給者に対し、市独自の運転記録の提出を求める制度について「国の方針が変わったことで、求める必要がなくなった」と述べ、今後は原則提出不要とした。
厚生労働省が生活保護受給者のうち、障害者らが車を利用できるケースを拡大することを決め、12月25日に自治体に通知したことを受けての対応。
市は年明け以降に検討を重ね、制度を見直した。
通知では、通院する場合などに限って認めている運用を見直し、車保有を認められた障害者らが日常生活に不可欠な買い物などで使うことを可能としており、市は「運用上、運転記録の提出を求めるケースが無くなる」と判断したという。そのほかの判断基準の見直しも進める。
車の利用を巡っては昨年、運転記録を提出しなかったことを理由に市が生活保護の支給を停止したのは違法として、身体障害がある親子が市に停止処分の取り消しと損害賠償を求めて提訴。
津地裁に続き、名古屋高裁も処分を取り消したが、市は判決を不服とし、最高裁へ上告中。
末松市長は「上告を継続するか否か、市の代理人弁護士らと再度検討して判断する」と述べ、「取り下げの可能性はゼロではない」との見方を示した。