
【津】津市白山町の画家、櫻井拙朋さん(86)の水墨画展が22日、同市中央の三重画廊で始まった。中国紙に墨で描いた生命力ある作品計33点を展示販売している。26日まで。
櫻井さんは松阪市出身で東京芸大油画科卒業。在学中に南宋時代の水墨画家の作品に感銘を受け卒業後は水墨の道に進んだ。現在は自身の制作のほか津市や松阪市の文化センターなどで指導する。
墨の重なりの偶然で、富士山を思わせる線が現れた「松雲」、余白が三日月のように浮かぶ「夜の舟」、松尾芭蕉の句と同題の「辛崎の松は花よりおぼろにて」などが並ぶ。
櫻井さんは幼少期に松の絵で全国コンクールに入選し、長じて俵屋宗達の描く松に衝撃を受けたことで松を好きになったという。「描くときはいつも宗達への思いを浮かべている」と話し「ものより空間。描いたものと残った余白が同じ力を持つように描いている」と見どころを語った。