鈴鹿市の社会福祉法人「かがやき福祉会」の役員人事を巡る贈収賄事件で、当時の理事長らに賄賂を渡したなどとして、社会福祉法違反と業務上横領の罪に問われた贈賄側の不動産管理業金田充史被告(53)=和歌山県紀の川市=の初公判が21日、津地裁(西前征志裁判官)であり、金田被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役10月を求刑し、即日結審した。判決は30日に言い渡される。
起訴状などによると、金田被告は迫丸卓哉被告(44)=同罪で起訴=と共謀し、令和4年2月、法人役員らの変更を当時の理事長、四宮慶太郎被告(58)=社会福祉法違反で起訴=に依頼。四宮被告らに現金計3500万円を渡したなどとされる。
検察側は冒頭陳述で、「インターネットのM&A(合併・買収)サイトで法人が売りに出されているのを見つけ、四宮被告らと面談。四宮被告らに金銭を支払い、役員などを自らの友人らに変更した」と説明した。
その上で「理事長に就任した迫丸被告に指示して介護報酬債権を担保に515万円を借り、このうち500万円を横領。知人に貸し付けて消費した」と述べた。
論告では「社会福祉事業に対する社会の信頼を失わせる悪質な行為。被害も多額で、社会福祉法人の適正な運営を大きく害し、被害は深刻」と強調した。
被害弁償について「法人が破産した後で、有利に考慮できる範囲には限界がある」と指摘。「自ら買収の交渉をし、法人の口座から引き出す金額を迫丸被告に指示するなど、終始主導的な役割を果たした」と主張した。
弁護側は最終弁論で「社会福祉法人の買収は初めてで、会社の売買と同様に考えていた。すでに被害弁償を済ませ、社会的制裁も受けている」などとして、執行猶予付きの判決を求めた。