2025年1月18日(土) 

▼20日の米大統領就任式をもって「トランプ2・0」が始まる。自らを「タリフマン(関税男)」と呼ぶだけに世界中が戦々恐々としている。狙いは中国封じ込めだが、日本をはじめとする同盟国まで影響を受ける

▼歴史をひも解けば、いいことはほとんどない。明治政府は関税自主権獲得のため不平等条約改正に苦しんだ。米国は「1930年関税法」で高関税を課したため各国の報復関税を招き、輸出入が半減。世界恐慌は悪化した。これが後に第二次大戦につながった。しかし、トランプは「関税だけがかつてわが国に大きな富をもたらした」と、マッキンリー大統領時代を称賛する

▼19世紀末、マッキンリーは徹底した保護関税主義により、米国の帝国主義を拡張、世界覇権を視野に収めた。ハワイ併合、米西戦争によってキューバを独立させ、プエルトリコ、グアム、フィリピンを手に入れた。トランプがカナダ、グリーンランド、パナマを欲しがるのはアタマが帝国主義のためなのか。関税引上げはインフレを加速させ、一般国民を苦しめる。マッキンリーは1901年9月、再選直後にアナキストによって暗殺された。