日本の停滞「低い生産性に」 百五総研・海住社長が講演 県中小企業団体新春セミナー

【セミナーで講演する海住氏=津市羽所町のホテルグリーンパーク津で】

三重県中小企業団体中央会(三林憲忠会長)は15日、津市羽所町のホテルグリーンパーク津で新春特別セミナーを開いた。百五総合研究所社長の海住禎人氏が「2025年日本経済の行方と中小企業経営について」と題して話し、会員組合の役職員ら約100人が聴講した。

セミナーに先立ち三林会長は「中小企業組合をはじめとする多様な連携のネットワークを活用することで、新しいデジタル技術の利用や省力化投資など生産性向上に積極的に挑戦していくことがより重要になってくる」とあいさつした。

【あいさつする三林会長=津市羽所町のホテルグリーンパーク津で】

セミナーで海住氏は、世界の名目GDP上位10カ国の中で日本が伸び悩んでいるのは労働生産性の低さにあることを指摘。その理由として長時間労働の常態化やデジタル化の遅れ、モチベーションの低下などを挙げた。

今後期待できる国内産業として半導体産業を挙げ、政府が補助金を実施していることや民間企業が最先端半導体へ大型投資を実施していると指摘。「県内経済を支える半導体など電子部品をもっと量産できれば、県経済にも好影響を与えていくのではないか」と期待した。

県では今後15―64歳の生産年齢人口の減少が進み、人手不足が深刻化すると警鐘を鳴らし、最も多い50―59歳の団塊ジュニア層を将来高年齢雇用で積極的に活用していくことを訴えた。人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業成長につなげる「人的資本経営」を勧めた。

セミナー後、中部経済産業局の寺村英信局長、野呂幸利副知事らを来賓に新春賀詞交歓会があり、関係者約110人が交流を深めた。