カラスミの生産始まる 尾鷲・魚鉄商店、べっ甲色に輝く600本 三重

【べっ甲色のカラスミを裏返す従業員ら=尾鷲市港町の魚鉄商店で】

【尾鷲】高級珍味「カラスミ」の生産が、三重県尾鷲市港町の鮮魚店「魚鉄商店」で始まっている。秋晴れの下、作業小屋で日干しされた約600本がべっ甲色に輝いている。

カラスミは、血抜きして1カ月ほど塩漬けにしたボラの卵巣の塩を抜いた後、天日干しする。好天の日に3時間ごとに裏返すと、約20日で深みのある色に仕上がる。

天日干し作業は先月27日に始まった。2日は従業員3、4人が水分を拭き取りながら、丁寧に裏返した。今年は高温などの影響で1カ月ほど作業が遅れたという。

今月中旬まで作業が続き、乾燥したカラスミは頭部から抽出した油を塗って真空保存する。10日以降に関西や東京、地元などに出荷し、予約客への販売、発送もする。

近海でボラの漁獲量が減少し、今年は和歌山と瀬戸内海で水揚げされた約1000本を買い付け、うち約600匹が雌だった。市内から取り寄せた卵巣は20本ほどという。

カラスミは一本1万5千―2万円ほどで販売する。3代目店主の小山訓充さん(52)は「今年は色も形も良いものがそろった。懐かしい味を楽しんでほしい」と話した。