1月に三重県鈴鹿市のアパートで住人の高齢男性が殺害された事件で、強盗殺人や住居侵入などの罪に問われた住所不定、無職美崎芳一被告(28)の裁判員裁判初公判が2日、津地裁(西前征志裁判長)であり、美崎被告は「間違いはないです」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、「金に困った被告は昨年12月、同じアパートに住んでいた被害者から千円を借り、初めて面識を持った」と話し、同月末ごろから、窃盗などの犯罪行為を繰り返していたと述べた。
動機について「大麻を買う金欲しさに被害者をナイフで脅した」と指摘。「抵抗した被害者の首を手で絞めて失神させ、意識を取り戻した被害者の首にシャツを巻き付け殺害した」と説明した。
弁護側は「被告は収入や貯金がなく、食べ物を買うのにも困っていた」と主張。「脅して金を取ろうと考えていたが、被害者から強い抵抗を受けて首を絞めた。確実に死ぬとは思っていなかった」として、量刑について争う考えを示した。
起訴状などによると、美崎被告は1月8日午後7時ごろ、鈴鹿市末広北2丁目のアパート一室に侵入。住人の近藤康夫さん=当時(77)=の首を絞めて殺害し、軽乗用車や現金約2万5千円を奪ったとされる。
また、美崎被告は昨年12月―今年1月、市内のコンビニでたばこを盗むなど、他に七つの事件に関わったとして、建造物侵入や窃盗、詐欺などの罪に問われている。