▼児童相談所と県警が津市高茶屋の県警察学校で、生後7カ月の男児への虐待が疑われる児童を一時保護する訓練をした。任意で立ち入り調査したり、裁判所の許可を得て強制的に児童を保護する手順を確認した
▼平成23年度から毎年実施しているという。前年に児童虐待死が連続したことの教訓か。児相は、権限がないから強制的に疑惑の家に踏み込めないとし、警察は児相に連絡しておしまいという慣例が虐待を根絶できない原因とされたことへの反省か
▼同29年に関係機関が情報共有するための要保護児童対策地域協議会(要対協)実務者会議に警察が全面参加することになって児童虐待相談対応件数が過去最多になり、原因は警察からの相談件数が大きく増えたためとされる。訓練の成果は分からぬが、数が増え、児相の手が回らなくなったことは容易に想像できる
▼机上の会議が情報の共有になっていないこともたびたび指摘される。津市で昨年発生した4歳女児の母親からの虐待死も、児相と市との連携不足が一因という。役割分担を徹底しても、会議を繰り返しても、虐待の現実は、それらの隙間をするりとこぼれ落ちてしまうことは過去の事例が証明している
▼だから実際訓練して隙間を埋める重要性は見直されていいが平成23年以来、警察と児相の2機関だけで行ってきたらしい。市町の福祉部門も、見守りを委託された社会福祉協議会も蚊帳の外ということか
▼いじめもだが、虐待は社会全体での克服が求められる。態勢もそれを踏まえなければなるまい。