【熊野】三重県熊野市育生町尾川の大森神社で23日、700余年の歴史を持つといわれる「どぶろく祭り」が開かれた。県内外から多くの参拝客が訪れ、秋晴れの下で芳醇(ほうじゅん)な味わいを堪能した。
豊作への感謝と来年の五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する例祭で、娯楽の少ない里山の住民らがどぶろくを持ち寄ったのが始まりとされる。県内でお神酒の製造免許を持つ神社は、同神社と伊勢神宮のみ。
どぶろくは同町の尾川と長井、粉所の3区の氏子総代が三段仕込みでもろみを発酵させ、先月末から交代で一日3回混ぜた。今年はアルコール度数19度の辛口で、230リットルを醸造した。
例祭は氏子らが神前にどぶろくを奉納し、来賓の河上敢二市長らが玉串をささげた。その後、近くの童心釜で焼いた湯飲み(千円)を買った参拝客らに、氏子らがどぶろくを注いで回った。
どぶろくは飲み放題で参拝客らはおかわりを楽しんだ。四日市市から夫婦で訪れた桧作桂二さん(61)は「辛めだが香りが良く飲みやすい。初めて来たので、最低3杯は飲みたい」と話した。