▼世界的な「選挙イヤー」と言われた年も終わりに近づいた。総括すれば、現状に対する不満が噴出したといえようか。米国大統領選も、前大統領の返り咲きという視点とは別に、現状をリセットしたいという人々の願いを感じる
▼日本の石破政権誕生の背景にも、裏金問題とともにそんな国民の期待があり、続く総選挙に現状打開のうねりを感じさせた。伊賀市長選にも通じるのではないか。12年前に「このままでは、あかんやろ」をキャッチコピーに登場した現職が「ポピュリズム(大衆迎合)に走れば住民が不幸になる」と4選を目指した。変化への挑戦は薄れていた
▼稲森稔尚新市長の「長いものには巻かれるな」という座右の銘は痛快で、県議時代の言動にはしばしば共感したが、比較的堅実な政策の中で「『かくれ教育費』の負担軽減」というのに目を奪われた。教育費無償とされる義務教育で、学校が指定する副教材や制服、ランドセル、文具などに保護者の負担がかさんでいることである
▼ボランティア活動を援助するボランティア基金に、複数のグループから図書購入費の要請があったことがある。学校へ寄付するのだという。学校の図書整備を保護者に肩代わりさせる結果ではないかと学校関係の理事に質問したら、当該要請がどうかはともかく、少ない予算の中で図書購入を保護者に依頼することはあるということだった
▼事務費、備品購入の保護者への肩代わりは昔から知られ、PTA解散の一因にも。教育現場の課題は、給特法や教師の過剰労働だけではない。