2017年12月23日(土)

▼無残な結末になった。県議会選挙区調査特別委員会は1年半以上議論した結果、何の成果もあげず来年2月、廃止の見込みという。議員提案で議員定数改正条例案を上程して可決する道が残されているというが、空論を重ねたあとでそんなことをすれば、民心が離れるだけだろう

▼「互いに耳を傾けたり、意見を変えたりする様子はほとんどなかった」と本紙が伝えている。耳を傾け、意見を変えてもいいと思えるだけの筋の通った提案がなかったということだろう。三谷哲央委員長は「私の至らなさ」「力不足」と謝罪したが、一番の至らなさは、そんな提案を持たずに委員長に就任したことと、重いはずの「委員長案」をやっつけ仕事みたいな内容にしてしまったことである

▼条例定数に欠点の多いことは誰でも知っている。にもかかわらず、まがりなりにもまとまったのは、一票の格差是正が全議員共通の命題だったからだろう。一度も実施せずに改正するというなら最低限、その大義名分を超える理屈が必要だが、その意味で前正副委員長案も、まともに向き合うことを避けた上、欠点を焼き直ししただけだった

▼今日に至った遠因は、実施を先送りして条例定数をまとめた改選前の議会にある。いわば禁じ手に近いが、それぐらいしか方法が浮かばず、付帯決議もそのための手段にしか過ぎなかったのだとしたら、何と言われようと頑として特別委の発足は阻止するぐらいの責任は持つべきだった

▼eモニターと意見募集の結論が正反対だった理由は何か。せめて県民の意思を正しくくみ取る汗は流してもらいたい。