津市水道局職員2人が詐欺疑い 業者に業務委託料だまし取らせる

【職員の詐欺行為で謝罪する松下市上下水道事業者管理者(左)ら=津市役所で】

【津】三重県津市は30日、水道の止水栓の取り替え工事で、市内の業者に工事を偽装させ、業務委託料計11万1430円をだまし取らせたとして、市職員2人と業者を詐欺の疑いで津署に被害届を提出したと発表した。

市上下水道事業局によると、4月と6月に実施した個人宅の水道止水栓の取り替え工事3件で、同局水道工務課維持管理担当の男性技能長(51)が、実際は同課の男性技能員(31)が工事を行ったにもかかわらず、修繕請負業者の新英工業(同市安濃町)が工事をしたと見せかけ、業務委託料をだまし取らせた疑い。

技能長は技能員が修繕した施工写真を自身のスマートフォンで撮影し、新英工業の男性代表取締役(50)に送信。業者はそれらを使用して架空の業務日報や業務完了報告書を作成し、市に提出していた。

同局の調べで、技能長は「業者が昼夜問わずに市が依頼する緊急業務を断らず受けてくれたことで業務が円滑に進められた。謝意を示す意図で行った」と話しているという。部下の技能員は問題を知りながら技能長に従っていた。代表取締役は「断っていたが何度も言われ、出してしまった」と話しているという。この件で業者から技能長らに見返りの金銭授受などはなかったとする。

6月にインターネット上で、新英工業に対し優先的に工事を発注している疑惑があるとの記事が掲載されたのを受け、市が調査していた。

市では30日付で職員2人を水道工務課から上下水道管理課へ配置換えする人事異動を行った。処分については捜査結果を踏まえ対処する。新英工業については当面、安芸事業所管内の維持・修繕業務の発注を見合わせるとともに、業務委託料の返還を求めていく。

松下浩己上下水道事業管理者は「市民の皆さんに心からおわび申し上げる」と陳謝。職員へのコンプライアンス(法令順守)の徹底や維持・修繕業務の依頼や運用方法の見直しなどを進めていくとしている。