2024年10月29日(火)

▼短期決戦となった約3年ぶりの衆院選は終わった。全国に吹き荒れた裏金問題を巡る「政治とカネ」への審判は、県内ではどれだけ明確な形になったかどうか

▼選挙活動を終えた県内の各政党の談話は、日本維新の会を除き、手応えを感じさせるものだった。自民党県連の中嶋年規幹事長は、逆風を感じながらの戦いだったが、責任政党として訴え、多くの理解と支持を得たと語った

▼1区、4区の圧勝がそのことを裏づけたが、2区は、序盤で立憲民主党新人の健闘がうわさされ、そのまま抜け出して前職を振り切った。もともとが立民ベテランの地盤であり、議席奪還の可能性はあったとはいえ、自民党の中では裏金問題と無縁のように見えた前職があおりを食ったと言えなくはない

▼投票率が56・21%で、前回をわずかながら上回った。一票の権利を行使しようと投票所に足を運ぶ人が増えたということである。面倒くさいと選挙はほとんど棄権していた知人が、今回は数日前から張り切り、友人らに小政党への投票を呼びかけていた

▼裏金問題で与党は逆風だが、野党も候補の一本化ができず、結果的に与党に利する。さて勝敗はいずれに、というのが選挙前、選挙中の予想だった。小党乱立はお国柄であり、米国の二大政党選挙を見ていると、きめ細かに国民のニーズを吸い上げようとする日本式もそれなりのよさはある気がする

▼千丈の堤もアリの一穴より。どんなに巨大な組織でも小さな不祥事が原因で組織を崩壊させる―の意。複数のアリが穴を開けていたように見えた。