【桑名】美術教師だった三重県桑名市の洋画家、前田研志さん(1936―1999年)と、前田さんの教え子で世界で活躍した洋画家の石垣定哉さん(1947―2023年)の作品を一緒に紹介する特別企画展が、桑名市桑名の六華苑・番蔵棟で開かれている。12月1日まで。
前田さんは、中学の美術教師の傍ら絵画創作を続け、桑名の風景を数多く描いた。後進の育成にも力を注いだ。初任地の東員中学校で石垣さんと出会い、交流は晩年まで続いた。
石垣さんは中学時代に美術部を立ち上げ、前田さんの指導を受けた。四日市高校へと進み、愛知県立芸大を卒業し、欧米やアジアなどで精力的に創作活動を展開した。特徴的な青の色は「イシガキブルー」と称され、国内外で高い評価を受けた。
同展は前田さんの没後25年に合わせ、桑名市と六華苑が開いた。同苑の所蔵品や個人から借りた油彩画や水彩画など65点を紹介している。
桑名石取祭を題材に、前田さんが油彩で描いた100号の大作「祭日 ISHIDORI」は、今回初めて展示した。石垣さんが手がけた陶やガラス作品も並べている。
2人の関係性や人柄が垣間見える作品や資料も展示している。米ニューヨーク滞在中の石垣さんが前田さんに宛てたエアメールや、石垣さんからニューヨーク土産にもらった帽子を描いた前田さんの水彩スケッチなども並ぶ。帽子はサイズが合わず愛用することはなかったが、いくつかの作品に描かれていて、大事にしていたという。
市生涯学習課の水谷芳春課長(54)は「地元桑名と東員町に素晴らしい画家がいたことを知ってほしいし、ぜひこの機会に作品を見に来てほしい」と話していた。
月曜定休(祝日の場合は翌平日)。入苑料460円が必要。