2024年10月9日(水)

▼民主党政権(平成21年9月―24年12月)の末期、みるみる政権の人気が落ちていく理由について、共同通信加盟社論説委員会議で講師の岡田克也幹事長(当時)に聞いた社があった。「(衆参)予算委員会を開くからだ」という趣旨のことを端的に語った

▼野党が手ぐすね構える追及の場であり、守りに回る与党はどうしても見劣りがしてしまうというのだ。政権の安定には予算委員会を開かない方がいいみたいな話に疑問を感じたが、石破内閣の初の国会論戦を見てなるほどと得心した。再質問のない代表質問でさえ、石破茂首相の答弁は過去はもちろん、自民党総裁選の発言からも大きく後退した。予算委で一問一答式で追及されたら立ち往生してしまうのではないかと心配になる

▼裏金議員の公認・非公認問題はひとまず置く。もっとも積極的に見えた選択制夫婦別姓問題に「さらなる検討が必要」「個人的見解を控える」と言うとは思わなかった。見直すと言わんばかりだったマイナンバーカードと健康保険証との一体化も、予定通り12月に踏み切るという。日米地位協定の改定やアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想に至っては「一朝一夕に実現するとは考えていない」

▼予算委員会を開かないことが最低限、選挙前に内閣支持率を失墜させない知恵ということか。公認・非公認問題では、どんな結末になろうとも、自民党内のかなりの勢力を敵に回すことになりそうだ。前門の虎、後門のオオカミに挟まれて、立ちすくむ首相。漫画家の故山藤章二さんならそんな風刺画をものにしそうな気がする。