三重県教委、能登地震を教訓に 支援活動を基に報告書

三重県教委は4日、能登半島地震の被災地支援に関する報告書を発表した。児童生徒の安否確認や学校再開に当たっての課題などを記載。具体的な対応を事前に定める必要性を強調した。

県教委は1月10日から3月31日まで、県教委事務局の職員や県内の教職員ら44人を石川県輪島市に派遣。学校再開の準備や児童生徒の心のケア、交通指導などに当たった。

報告書は、支援活動の経験を南海トラフ地震などの災害対応に反映させることを目的に作成。現地で支援に当たった教職員らの日報やアンケートで寄せられた意見を基にまとめた。

報告書では、平時から使用しているアプリで一部の保護者と連絡が取れず、安否確認に時間を要したと指摘。アプリで連絡が取れない場合の対応を事前に定める必要性を明記した。

「学校は安心」「自宅に近い」などの理由で、想定を上回る住民が学校に避難したと説明。避難者が教室を利用していた学校では、授業の再開に時間を要したことも課題に挙げた。

県教委は県立学校と市町の教育委員会に報告書を配布し、防災対策に活用するよう促す予定。教育委員会が被災地での支援活動を基に報告書を作成するケースは全国的にも珍しい。

福永和伸教育長は4日の定例記者会見で「南海トラフ地震が危惧される中で、被災地支援で得た知見や気づきを生かす。報告書の内容を各学校と共有し、意見交換する」と述べた。