<まる見えリポート>松阪市議会在り方調査会 現行定数が下限か 「据え置き」答申へ

【第3回松阪市議会議員定数等の在り方調査会=同市役所で】

三重県の松阪市議会が立ち上げた学識者4人でつくる「議員定数等の在り方調査会」(会長・小林慶太郎四日市大学副学長)は16日、3回目の会合を開き、現在の議員定数28人で据え置く方向で答申を出すと合意した。8年前の第三者機関への諮問でも据え置きとされ、現行定数が下限のようだ。

市議の任期満了は来年7月31日。同市住民自治協議会連合会が昨年11月21日、議員定数の8人削減を求める意見書を議長に提出したのを受け、市議会が同調査会を設置。10月21日に議長に答申する。

方向性を出す3回目の会合では、川上哲副会長(三重短期大学准教授)が「現行でいい。削減してしまうと、本庁以外(合併前旧町)の意見を反映しにくくなる」と主張。駒林良則委員(立命館大学特任教授)も「現在議員が出ていない旧町がある。削減するとさらに(選出が)難しくなる」と話した。

小林会長は4常任委員会の委員長らへの聞き取りを踏まえ、「4常任委員会の定数が各7人、計28人の現状の運営が妥当で望ましいという意見だった。方向性として議員定数は据え置く」と結論を出した。

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 同市は旧松阪市と嬉野、三雲、飯南、飯高の旧4町が平成17年に合併。同25年の市議選から定数を30人から28人へ減らし、以降3回の市議選は同じ定数。

市議会は同28年にも「議員定数のあり方調査会」(駒林良則会長、4人)を設けている。同調査会の意見書では「合併された旧町域からも議員が選出されることが望ましい」「(定数を)現行より削減した場合にはそうした旧町域からの選出が困難になる」として、現行定数が「妥当」とされた。

旧市町別の人口比率は、旧市73・9%▽嬉野12・1%▽三雲9・3%▽飯南2・5%▽飯高1・9%。この比率で定数の28人を旧市町別に割り振ると、旧市20・7人▽嬉野3・3人▽三雲2・6人▽飯南0・7人▽飯高0・5人―となる。

現在の議員の住所は、旧市23人に対し、嬉野と三雲が各2人、飯南1人、飯高ゼロ。嬉野、三雲が人口規模に対しそれぞれ1人ほど少なく、旧市がその分多い。飯高からの選出は厳しい。

自治協連合会が提起する定数20人を旧市町別人口比で配分すると、旧市14・7人▽嬉野2・4人▽三雲1・8人▽飯南0・5人▽飯高0・3人―になる。旧市は人口が多い分、多く減る。飯高に加え飯南も議席の確保が難しくなる。前掲意見書が懸念する通りになる。

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 自治協連合会の意見書は「今まで経験したことのない少子高齢化と人口減少時代を迎えました」と切り出し、県内10万人以上の市を取り上げ、「人口10万人当たりの議員数を近隣の津市(12・38人)と同等とする」と提案。松阪市は10万人当たり議員数が17・59人なので、津市議会に合わせると定数が約20人になると説明する。

しかし、そうすると松阪市に比べ人口が少ない桑名、伊勢、伊賀の3市が議員数では多くなってしまう。定数は桑名26人、伊勢24人、伊賀同となっている。

第3回調査会で小林会長は「自治協連合会の意見は重く受け止めなければいけないが、内容を精査していくと、論理的に強くない。それに縛られない」と調査会の立場を述べた。

一方、自治協連合会の意見書は、低投票率や最下位当選者の得票数の低さも取り上げ、「令和3年市議選の投票率は43・87%で合併後最初の平成17年と比較すると18・83%も低くなっている」「過去の選挙の半数に近い得票数で当選することができる状況」と訴える。

調査会もすんなり「据え置き」で落ち着いたわけでなく、小林会長は人口減少を見据え定数24人への削減を提起し、「健全な民主主義には競争がないといけない」「最下位当選者の得票数があまりに低すぎるのも問題。議員としての資質が問われかねない人が出てくる」と指摘した。

ただ、調査会の意見は一本化する方針のため「据え置き」でまとまった。市議選立候補予定者は結論だけでなく、そこへ至る議論から市議に求められる役割を考えてほしい。