特別監査後も入所者虐待 障害者施設「三重県いなば園」

職員による入所者への虐待が相次いだ障害者施設「三重県いなば園」(津市稲葉町)で県の特別監査が終了した後も、職員による入所者への虐待があったことが19日、園への取材で分かった。

施設によると、この職員は6月26日午前6時50分ごろ、居室にいた入所者を大声で怒鳴ったほか、居室を清掃するために入所者を廊下へ引きずり出した。入所者にけがはなかった。

施設は同28日、記録用カメラの映像で職員の行為を確認。県などに事案を報告し、入所者の家族に謝罪した。入所者が居住する自治体の調査を経て、8月23日に虐待の認定を受けた。

施設では令和3年から昨年にかけて3件の虐待があり、昨年12月から県の特別監査を受けていた。園を運営する県の外郭団体「県厚生事業団」は今年8月、県に改善計画を提出した。

事業団は今月19日、ホームページで今回の事案を公表。「利用者や関係者に多大な迷惑と心配をかけ、心よりおわびする。要因を十分に検証し、再発防止に努める」などと掲載した。

事業団は取材に対し、事案を公表していなかった理由について「入所者の保護者が公表を希望しなかったため」と説明。職員への対応についても「プライバシーの保護」を理由に明らかにしていない。

一見勝之知事は19日の定例記者会見で「園の対応に甘さが出ている可能性がある。猛省し、二度とないようにしてもらう必要がある」と指摘。必要があれば再び監査に入る考えも示した。