クマ被害女性に聞き取り 一人で下山、鈴持たず 三重県、注意喚起も

一見勝之三重県知事は10日の定例記者会見で、大紀町大内山のツヅラト峠でツキノワグマに襲われてけがをした大阪府の70代女性から、当時の状況を聞き取ったことを明らかにした。

県によると、女性は先月14日午後4時ごろ、ツヅラト峠を一人で下山していたところ、登山口付近の林道でツキノワグマに襲われた。頭や顔、足を引っかかれてけがをした。

女性は県の聞き取りに対し、林道のカーブを曲がった先でクマに遭遇したと説明。驚いて一瞬だけ背を向けた後に振り返ると、20メートルほど先にいたクマが走って向かってきたという。

女性はクマよけの鈴を携帯していなかった。登山中は杖で音を立てていたが、クマと遭遇した当時は登山口に近いこともあって使っていなかったという。

聞き取りは県民への注意喚起や対策への反映を目的として、県の農林水産部が女性に要請した。県は近く、女性から聞き取った内容をホームページなどで公開する。

今年4月以降に県内で確認されたクマの出没は93件。昨年度中の40件を上回って過去最多を更新した。県は大紀町と紀北町にクマアラートの警報、松阪市以南の14市町に注意報を発表している。

一見知事は会見で、女性から聞き取った内容を踏まえて「人に遭遇したクマは急に行動する可能性がある」と指摘。登山中は鈴やラジオで自身の存在を知らせる▽なるべく複数人で行動する▽遭遇した際は背中を見せない―などの対策を紹介した。