東海3県の知事と名古屋、浜松の両市長による「東海3県2市知事市長会議」が4日、いつきのみや地域交流センター(明和町斎宮)であった。一見勝之三重県知事は県内の外国人観光客が伸び悩んでいることを課題に挙げ、周遊観光などでの連携を求めた。
県によると、県内の外国人観光客数をコロナ禍前の令和元年と比較した「回復率」は毎月、おおむね60%前後にとどまっている。今年6月の回復率は51・4%と、都道府県で最下位となった。
一方、同月時点で愛知県の回復率は99・2%、岐阜県は91・7%と、共に三重県を大幅に上回っている。東海3県では、三重県の外国人観光客数だけがコロナ前の水準まで戻っていない。
一見知事は「この議題を提案するのは恥ずかしいが」と切り出し、回復率が最下位となったことを紹介。「もっと多くの人に来てもらえると思うが、宣伝が足りない」と述べ、協力を求めた。
古田肇岐阜県知事は、コロナ禍でも観光振興の取り組みに努めていたと紹介。白川郷(同県白川村)などの観光客に「もう1泊」を呼びかけるキャンペーンを展開していることも紹介した。
大村秀章愛知県知事は令和4年にオープンしたジブリパーク(同県長久手市)の盛況ぶりをアピール。みそなどの食文化を生かした「発酵ツーリズム」の振興に努めていることも紹介した。
また、河村たかし名古屋市長は「三種の神器」の一つ「草薙神剣」をまつる熱田神宮(同市)と斎宮の連携を提案。一見知事は「ぜひ話し合いをして、良い企画ができれば」と応じた。
会議では、来年の大阪・関西万博や2年後に名古屋市などで開かれるアジア競技大会に合わせた周遊観光に向け、3県2市が連携することで合意した。事務レベルで具体的な議論を進める方針。
このほか、会議では台風10号の被害状況などを共有し、各県市が災害対応を検証した結果を共有することを確認。地域の移動手段を巡る課題の解決に向けて連携することにも合意した。
会議に先立ち、知事や市長らは近くの斎宮歴史博物館を視察し、斎宮の歴史などについて、担当者から説明を受けた。大村知事は「これほどの規模だとは思っていなかった」と評価した。