店舗貸し切りサービス好評 衣料品店「わたせい」 高齢者施設向け開始2年

【スタッフと商品を選ぶ利用者=津市久居中町のわたせい久居店で】

【津】三重県内に衣料品店「わたせい」を展開する「綿清商店」(曽我江里子社長)が、高齢者施設などに一定時間店舗を貸し切る「貸し切りお買い物サービス」が、開始から2年を迎えた。これまでに7店舗で計36回実施し、18施設から延べ631人が利用。地域に寄り添う取り組みは「安心して買い物ができる」と好評で、恒例行事にする施設もある。

同サービスは、施設の利用者から依頼された買い物メモを手に職員が苦労する姿を店舗で見かけたことがきっかけで令和4年8月末に始めた。

一般客には事前に貸し切りを告知して1施設1時間、スタッフを増員して対応。「五本指の靴下がほしい」「ハンカチが見たい」など要望を聞き、担当スタッフが一緒に選ぶ。疲れたら休めるよう椅子も準備している。

3日は久居店(津市久居中町)に「シンシア久居」のデイサービス利用者23人が訪れた。昨年9月に初めて利用して以降季節ごとに来店し今回が4回目。右半身にまひがある畑中よねさん(81)は「自分の目で見て選べるので毎回来ている。アドバイスもありがたい」、作業療法士の奥田景太さん(42)は「足取りの悪い方にスタッフがついて下さるので安心して買い物ができる」と話す。

同プロジェクトのリーダー、加藤歩さん(28)は「通路幅など店の利用しやすさを考える機会になり、接客の楽しさが実感できる場でもある。まだまだ知られていないので、もっと広めていきたい」と力を込めた。