一見勝之三重県知事は3日、台風10号の影響で護岸が崩壊した松阪市田牧町の堀坂川を視察した。視察後の取材に対し、崩壊の原因を究明した上で本格的な復旧工事に着手する考えを示した。
県によると、護岸は長さ約30メートル、高さ約5メートルにわたって崩壊。表面のコンクリート製ブロックがはがれたほか、3メートルほどの幅があった堤防上部の管理用道路は狭い所で1メートルほどになった。
護岸は線状降水帯の発生から約1時間後の31日午後2時ごろに崩壊したという。県土整備部の担当者は「あと1時間ほど長く大雨が降っていれば、堤防が決壊した可能性がある」と話す。
県建設業協会松阪支部を通じて県の応援要請を受けた建設業者が31日午後8時から応急工事に当たった。玉石を敷いて約160トン分の土のうを設置。工事は2日午後6時ごろに完了した。
現場の河川はカーブでありつつも「特別に弱い部分ではなかった」(同部担当者)といい、崩落の詳細な原因は分かっていない。周辺には住宅が立ち並び、対岸には市立西中もある。
この日、現場を訪れた一見知事は松阪建設事務所の担当者から、崩落した当時の状況や応急工事の概要などについて説明を受けた。この後、工事を実施した市内の建設業者に謝意を伝えた。
一見知事は視察後、報道陣の取材に「すぐ近くの住民は気が気でならなかったと思う」とした上で「どんな状況で欠損したのかを究明し、それに対応できる復旧方法を考えたい」と述べた。
視察には竹上真人市長が同行した。堀坂川について「普段はほとんど水が流れていないが、増水すると一気に流れる」と説明。「県や建設業者の素早い応急工事に感謝している」と語った。