三重北中部に線状降水帯 台風10号、松阪と大台町に「緊急安全確保」

【水しぶきを上げて走る車=津市万町津で】

台風10号は31日、紀伊半島の南の海上を東に進み、三重県内は断続的に雨が降り続いた。北中部では線状降水帯が発生。松阪市と大台町は県内で初めて「緊急安全確保」を発令した。台風は2日にかけて進路を北に変えて県内に接近する見込みで、気象台は大雨に注意するよう呼びかけている。

津地方気象台によると、大紀町藤坂峠では31日午後1時49分までの1時間に74・5ミリ、紀北町紀伊長島では同1時1分までに60・0ミリの非常に激しい雨を記録した。

県などによると、津市の赤川や松阪市の百々川、多気町の佐奈川で氾濫が発生。29日からの大雨で、津市や松阪市で住宅の床上浸水が2棟、床下浸水が11棟確認されている。

松阪市と大台町は河川が氾濫する危険性が高くなったとして、約1万6千世帯に最も危険度の高い「緊急安全確保」を出し、直ちに身の安全を確保するよう呼びかけた。緊急安全確保は令和3年5月の運用開始以来、県内で初めて発令された。

鉄道や船などの公共交通機関では運転見合わせが相次いだ。1日も一部路線の運休が決まっており、各社は最新の情報を確認するよう呼びかけている。

台風10号は31日午後6時時点で潮岬の東南東約100キロの海上を時速約15キロで東に進んでいる。中心気圧は996ヘクトパスカルで、2日にかけて進路を北向きに変えて県内に接近。熱帯低気圧に変わるとみられる。

1日に予想される1時間あたりの降水量は、多いところで北中部、南部ともに60ミリ。同日午後6時までの24時間では、北中部で300ミリ、南部で400ミリ。

台風が熱帯低気圧に変わった後も、2日ごろまで断続的に大雨が降り続くとして、気象台は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、高波や強風などに注意するよう呼びかけている。