▼「多様性と調和」をメッセージとした東京五輪後、共生社会の実現や多様性の尊重が進んだか―共同通信社のアンケート調査で、全国の都道府県知事、市区町村長の26%が不十分と評価した
▼1667人(93%)が回答し、57%が「学校やイベントなどでのスポーツ体験や情報発信」が課題と答え、「利用しやすい施設の整備」、「指導員やボランティアの増加」などが続いた。東京パラリンピックを経て、進んでいるは「どちらかと言えば」も含めて73%、進んでいないは、どちらかと言えばを含め26%
▼理由は「地元出身の選手がおらず、関心を持ちづらかった」「障害者と健常者の交流が進まなかった」だ。「利用しやすい施設の整備」などが挙げられたのも、健常者の施設とは別の施設を前提にしていると考えると、障害者と健常者は、スポーツマン同士、スポーツ団体同士の交流がほとんどないことを連想させる。両者がともに参加する大会は皆無に近いのではないか
▼パリ五輪ではボクシング女子選手で性別騒動が起きた。性別適合検査で不合格になった経緯がある選手が参加したためだが、むろん男子の試合でそんな検査がされることはない
▼スポーツでは公平性が不可欠とされるが、障害者スポーツで厳密に公平なルールは不可能と言われる。障害の程度は個人個人で異なるからだ
▼健常者の身体的特徴は才能に分類される。障害者スポーツのトップ選手は、健常者選手が活用できない脳の領域を使っているという
▼多様性社会の公平性とは何か。考える時期ではある。