三重県津駅西口駅前広場の再整備に向け、送迎車の駐車スペースなど具体的な整備イメージを配置計画案として作成した津市は、この案に対し利用者らから意見を募集。寄せられた意見をもとに、駐停車スペースを倍増させるなど中身を変更し、「バージョン2」としてまとめた。今回も再度意見を募集し、さらに「バージョン3」を作成する見通し。何度も練り直した上で、来年3月に整備に向け基本計画をまとめる予定。
西口は朝夕の通学、通勤客の往来や送迎車、バス、タクシーなどが入り乱れ、安全確保や利便性の問題が長年の課題となっている。市では、津駅周辺の再整備に向けて国、県とともに昨年度に検討委員会を設置。その中で、西口についてエリアマネジメント会議を設け、交通の整序化やルールづくりを進めてきた。
市は5月に配置計画案の「バージョン1」を作成し公表。中央にある植え込みの築山の撤去や、送迎車の乗降場所の設置、バス乗り場の移設などを示した。
この案に対する意見を6月末まで募集し、約390件の意見が寄せられた。回答者の属性では、年齢層の最多は40代の26%、次いで50代の20%、30代の18%、20代の11%と続いた。
職業は最も多かったのが公務員で144件(37%)、次いで会社員110件(28%)、高校生33件(9%)などとなった。
市が近隣の学校に直接出向いて意見を募った中高生らよりも、公務員が全体の半数弱を占めるなど多くの関心が寄せられる格好となった。西口近くには市内最大規模を誇る事業所でもある県庁があり、県庁職員が物申したと見られる。
配置計画案で改善が必要な点として多かったのが、送迎車の停車スペースで164件。次いで送迎車の安全な乗降場所が138件と続き、通学や通勤者の送迎に絡む指摘が多かった。
具体的な意見では、「送迎車の駐停車スペースの台数を増やすべき」(77件)、「歩行者の安全確保に向け歩道を拡幅すべき」(21件)などの意見が出た。案では築山を撤去しつつ、植栽場所を2カ所設けたが、「なくすべき」(11件)との意見もあった。
これらの意見を踏まえ、「バージョン2」を作成。植栽を完全になくし、送迎車の駐停車スペースを8台から15台に倍増させたほか、駅の入り口近くに一般車とタクシーの降車専用スペースを2台設置し、滞留車両を軽減して乗降時の混雑緩和を図った。また、乗降場所の補完に向け、ロータリー内だけでなく駅北側道路も送迎車の乗降スペースとして整備するとした。
この案は来月から再度、利用者らから意見を募り、それをもとに「バージョン3」を作成する。「3」で打ち止めるのか、さらに「4」を作るのかは寄せられた意見などを見ながら決める。その上で、来年3月に基本計画をまとめ、来年度に詳細設計、8年度から工事着手する。
前葉泰幸市長は今回の意見募集について「この手のものでは多くの意見が寄せられた。関心が高いとも言えるが、不満も多いことを率直に認める」と強調。意見の中には「市長も朝の7時に(ロータリーに)立ってみれば」という内容もあったといい、朝夕の混雑時の西口を懸念する声も多かったとする。
その上で「市民の思いを聞きながら、新しい西口を皆でつくっていきたい」としている。