2024年8月22日(木)

▼三重行政監視行政相談センターが各界から個別に行政機構への注文などを聞き取っていたころ、苦情や相談事の増減について一つの見方をしていた。報道などで問題が指摘されると、関係する苦情などが途端に跳ね上がるそうだ

▼カスタマーハラスメント(顧客の理不尽な要求や嫌がらせ)対策に反映させようと、県が実施したアンケートで、回答した3779人の労働者の32・1%(1213人)がこの3年間でカスハラを受けていた

▼「威圧的な言動」が最も多く75・5%。次いで「脅迫や中傷」の59・5%。大学教授や弁護士、経済・労働団体の代表らで構成するカスハラ防止対策検討懇話会の初会合で報告された。そうなった原因や経緯は特に言及がなかったようだから「威圧的」や「脅迫」も、中身の精査は必要かもしれない

▼カスハラ対策を実施している企業は20・5%(175社)で、実施していない理由の最多は「必要性を感じていない」36・8%(215社)。労働者と企業の受け止め方の違いは歴然で、特定自治会長の行政介入が野放しだった津市や、県工事受託業者から内水面漁協が補償金を脅し取るのを黙認していた県を思わせる

▼津市では特定の職員に対応を委ね、刑事事件にした。毎晩のように呼び出された県職員は精神を病んだ。カスハラで孤立し、同じ思いをした労働者もいたのではないか

▼不誠実な企業をネットで批判して、陳謝させたという出来事もあった。懇話会では「苦情は消費者の権利」の指摘もあった。来年のまとめが楽しみだ。