【津】三重県津市久居二ノ町の久居八幡宮は17、18日と24、25日の2回に分け、江戸時代に同宮に奉納された祭礼ちょうちん計10点を特別公開する。源氏物語を題材にした直径40センチ、高さ120センチの大型。同宮参集殿で前後半に5点ずつ展示する。
同神社によると、ちょうちんは1―10番まであり、いずれも源氏物語の大和絵と、巻名を七五調のしり取りで読み込んだ長歌、五本線で表す香道の文字「源氏香」の意匠が描かれている。1番のちょうちんには机に向かう紫式部の絵と「源氏のすくれてやさしきははかなくきえし桐壷よ」の歌、紅梅やさわらびなどが細かく描いてある。
かつては秋の祭礼で本殿前に掲げられていたが傷みもあり、この10年はしまったままだった。点検を兼ね改めて調査したところ、10番のちょうちんには、江戸末期、文久2(1862)年に氏子の青年組織から奉納され、絵は伊勢の浮世絵師、喜多村豊春(1822―82)、歌は外宮の神職だった御巫(みかんなぎ)清直(1812―94)の筆と書かれていた。
今年は大河ドラマの影響で源氏物語が再注目されていることもあり公開を決めた。前半の2日間は1―5番を、後半は6―10番を展示する。各日午前9時―午後3時で社務所に見学希望を伝える。
同宮禰宜(ねぎ)の山中フローリアンさん(37)は「あちこち修復しており地元で大切にされてきたことが伺える。平和な時代の文化を知る機会になれば」と話している。