2024年8月1日(水)

▼「学力向上県民運動」というと懐かしい響きがあるが、前県政の遺物か。今はどうなっているか。本年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が中学の数学を除く三教科で全国平均を下回ったことについて「前年度と同じく」と、さらりと形容されているのでそんなことを思った

▼個別の教科の平均正答率はむろん前年度と同じではない。数学は52・7%で前年度比1・4%伸びたが、全国平均との差は0・1ポイント広がった。国語は57・0%で前年度から10・7%下回り、全国との差は前年度と同じの1・1ポイント。どう分析すればよいのかは分からぬが、教育効果が表れている気配はない

▼「県民運動」の形跡が見当たらないのは授業以外の勉強時間だろう。平日に一時間以上と答えたのは小学生で50・6%で前年度比3・4ポイント減、中学生は63・2%で同1・7ポイント減。ともに全国平均を下回り、その差も拡大した。「勉強しろ」と子どもに強要するのもどうかとは思うが、ゲームなどに熱中する時間が多いという県の特徴とともに、家庭が関心を持っているようではない

▼自己肯定感に関する質問では小中とも前年度を上回った。「先生は良いところを認めてくれる」と答えた割合も上昇した。学力が向上しないのも、授業以外の勉強時間が減少しているのも「教育指導の改善や充実」(一見勝之知事)の問題ではないかという気がする

▼「他者や集団、社会の役に立ちたいと思う気持ちが高い」(福永和伸教育長)ことが学力に結びつかない。教育のミスマッチと言えよう。