購入した土地が被差別部落にあると分かったことを理由に契約の解除を迫ったとして、三重県教委は25日、公立小学校の男性教諭(34)と女性教諭(32)を減給10分の1(1月)の懲戒処分とした。
県教委によると、2人は昨年7月、被差別部落にある土地の購入契約を取り消すよう求める内容証明郵便を、土地の仲介業者に送付。業者は解除に応じたが、業者の対応を非難し続けた。
業者から申し立てを受けた県は今年2月、差別解消条例に基づく一見勝之知事名の「説示」を2人に出し、差別をやめるよう促した。令和4年5月の同条例施行以降、初の適用となった。
2人は夫婦で、県教委の聞き取りに「土地の売り主や関係者に多大なご迷惑をおかけし、大変申し訳ない。二度とこのようなことはしない」などと説明。女性教諭は病気休暇を取得している。
県教委は勤務先の学校名や所在地ついて「購入した土地が詮索されることで、部落差別を助長する可能性がある。申し立てた仲介業者を保護する必要がある」などとして明らかにしていない。
県教委は平成12年にも、町内会から被差別部落を分離する運動や結婚での差別発言をした公立学校教諭を戒告とした。今回は差別解消条例の制定などを踏まえ、当時より厳しい処分とした。
福永和伸県教育長は定例記者会見で「人権が尊重される社会の実現に向けて積極的に役割を果たさなければならない教員が、悪質な行為で関係者の心情を傷つけたことをおわびする」と述べた。
再発防止に向け、動画やリーフレットを使った研修を全ての公立学校で実施すると説明。地域の特定を避けることを理由に、勤務先の児童や保護者には事案を伝えていないことも明らかにした。