▼あれよ、あれよという間の展開である。カスタマーハラスメント防止についての条例化の動きである。2月の定例記者会見で一見勝之知事が突然構想をぶち上げたと思ったら6月の県議会で関係部局幹部でつくる推進本部設置を表明。7月には有識者らの検討懇話会を立ち上げると発表した
▼中身も急進展した。2月段階では「場合によっては条例制定も考えなければならない」。6月議会では条例化が既定方針で、7月23日の推進本部の初会合で、一見知事は罰則も検討することを指示した
▼当初はカスハラの現状を企業などから聞き取ることから始めると示唆していたが、すでに知事なりのカスハラの現状がしっかり脳裏に定着しているようだ。有識者会議の方向づけも決まってしまった感がある
▼「労働者と消費者は対等な立場」と一見知事は言った。商売は商人と購買者がどちらも笑顔で終わるのが原則。が「特にサービス業で苦しんでいる人がいると聞く。買う方が偉いわけではないことを社会に浸透させる必要がある」と、知事には強い信念があるようだ
▼ハラスメント(嫌がらせ)にはパワハラ、セクハラ、アカハラなど多くの例が指摘されている。比較的新参のカスハラに法制化の動きが先行するのは経済振興と密接だからかもしれない
▼少子化とIT化で店員の数が減り、消費者のストレスも高い。自動精算機の店ごとの機種の違いで戸惑うことも多いが、有識者会議に消費者代表は見当たらない。「労働者と消費者は対等」を知事も忘れないでいただきたい。