伊勢奥津駅給水塔と数馬茶屋を文化財に 国の文化審、文科省に答申 三重

【伊勢奥津駅の給水塔】

国の文化審議会は19日、旧国鉄名松線伊勢奥津駅(三重県津市美杉町奥津)の給水塔と数馬茶屋(伊賀市小田町新町裏)を登録有形文化財(建造物)とするよう、盛山正仁文部科学相に答申した。

県教委によると、給水塔は伊勢奥津駅の開業に伴って昭和10年に設置。40年ごろまで蒸気機関車に必要な水を供給していた。鉄筋コンクリート造の柱や金属製の貯水槽などで構成する。

金属製の貯水槽を備えた鉄道の給水塔が現存するケースは珍しい。県教委は「蒸気機関車を運行していた時代の景観をとどめている。鉄道史を振り返る上で価値が高い」としている。

数馬茶屋は、日本三大仇討ちの一つ「伊賀越仇討」の舞台となった「鍵屋の辻」の近くにある休憩施設。伊賀越仇討を後世に伝えるため、旧上野町長の田中善助らが昭和4年に建築した。

市が所有し、かつては土産物の販売や湯茶の接待などに使ってきたが、耐震強度の問題から現在は使用していない。日本文学研究者のドナルド・キーンや放送作家の永六輔らも訪れた。

これらを含め、文化審議会は全国で158件の建造物を登録有形文化財とするよう答申した。これにより、登録有形文化財の建造物は全国で1万4303件、県内では321件となる。

【数馬茶屋】