市町に補助金負担要請へ、住宅耐震の拡充で、三重知事会見

【定例記者会見で、拡充する補助制度を説明する一見知事=県庁で】

一見勝之三重県知事は2日の定例記者会見で、住宅の耐震補強などを補助する制度の拡充に向け、市町に補助金の負担を求める考えを示した。先月の県議会で可決された関連予算が不足した場合は、追加計上も視野に対応を検討する考えも示した。

県は先月、能登半島地震で浮かんだ課題を踏まえ、住宅の耐震補助制度を拡充する費用として約1億859万円を計上した一般会計補正予算を県議会に提出。県議会は全会一致で可決した。

これにより、住宅の耐震診断が現状の1・6倍に当たる約3200件分に増加。耐震補強の設計や工事の補助金も引き上げる。住宅の一部を補強する「耐震シェルター」の補助制度も新設する。

一方、これらの制度では、市町が県と同額の補助金を支出する必要がある。耐震診断の拡大には全市町が合意したが、耐震補強工事の補助拡大には7市町が財源不足などを理由に応じていない。

また、今回の補正予算によって増やせる耐震補強設計は25件程度。耐震補強工事に至っては3件ほどの増加にとどまる。耐震シェルターの補助金も、30件程度しか確保していない。

県によると、県内の耐震化率は昨年度末時点で87・7%。昭和56年以前に着工した住宅から耐震補強済みのものなどを除いた「耐震性のない住宅」は、約9万2千戸と推計される。

一見知事は会見で「能登半島地震では、多くの人が倒壊した住宅で亡くなった。耐震補強やシェルターにより、圧死は避けられると思う。補助制度を活用してほしい」と述べた。

一方で「市町がどれだけ補助をするかで県の補助金も決まる」と説明。「住民の命に関わるので対応してもらえると思うが、できるだけ多く出してもらえるよう市町に要請したい」と述べた。

また、先月の補正予算に計上していた耐震補強設計や耐震補強工事の補助金は「とりあえずの仮置き」と説明。「要望があれば、次の補正で追加するなどして対応していく」と語った。