三重県議会は21日、総務地域連携交通、医療保健子ども福祉病院、防災県土整備企業の各常任委員会を開いた。企業庁は県内18市町から徴収している水道料金の改定を検討する考えを示した。エネルギー価格の高騰や施設の老朽化などを踏まえて「費用の増加は避けられない」と説明。来年4月の料金から引き上げる方向で検討するとみられる。
水道料、家庭反映は市町判断
〈防災県土整備企業=中瀬信之委員長(7人)〉
企業庁によると、改定の検討は、現行料金が本年度末で期限を迎えることを受けた対応。来月上旬に市町と協議を始める予定。改定を決めた場合は、来年2月に条例改正案を提出する。
現行料金は受水する水系によって異なるが、1立方メートル当たり約88円から約177円。企業庁が改定を決めた場合、一般家庭の水道料金に反映させるかどうかは各市町が判断する。
企業庁は常任委で、資材費の上昇や水道施設の老朽化対策などに伴う負担増を踏まえて改定を検討すると報告。「経費の節減に努めるが、費用の増加は避けられない」などと説明した。
また、企業庁は本年度水道事業会計の純損失が3億1900万円に上るとの見込みも報告した。電気料金の高騰などが理由。同会計で純損失が発生すれば、平成七年度決算以来となる。
入所措置は横ばい、児童虐待増加も
〈医療保健子ども福祉病院=石田成生委員長(8人)〉
児童虐待に関する相談対応や一時保護が増加する一方で児童養護施設などに入所させる措置がほとんど増えていないと指摘し、積極的な措置を講じるよう求める声が委員から上がった。
県によると、令和4年度の児童虐待相談対応件数は前年度比261件増の2408件で、過去最多を更新した。一方、施設などに入所させる措置の件数は近年、おおむね横ばいという。
杉本熊野委員(新政みえ、5期、津市選出)は「なぜ相談は増えても措置の件数は変わらないのか。保護されていない子どもが多数いると言われている。家庭神話が強いのでは」と訴えた。
子ども・福祉部は「家庭分離が必要でも保護者の同意が得られない場合は、家庭裁判所に申し立てるなどして対応している。虐待の再発などがあれば、しっかりと対応している」と説明した。
過剰な法令順守対策「職員萎縮」
〈総務地域連携交通=野村保夫委員長(8人)〉
相次ぐ職員の不祥事や不適切な事務処理を受けてコンプライアンス(法令順守)の徹底に向けた取り組みを進める県当局に対し、委員から「職員を萎縮させる」との指摘が上がった。
総務部は企業庁発注工事を巡る贈収賄事件を受け、全職員に倫理研修を実施したと説明。相次ぐ公文書の誤廃棄や紛失を受け、公文書の適正管理を求める通知を出したことも報告した。
山崎博委員(自民党、2期、四日市市)は「県行政には行動力が必要。コンプライアンスの取り組みを重視しすぎると、職員が怖がってしまう。このあたりで収束しては」と述べた。
これに対し、後田和也総務部長は「職員が萎縮してしまい、しっかりと業務ができなくなることがあってもまずい。綱紀粛正と業務推進のバランスをうまく取りたい」などと返答した。