県総文カフェが年末に閉店 障害者雇用理解の役割終え 県議会一般質問

【(左から)山本教和議員、中瀬古初美議員、龍神啓介議員、下野幸助議員=県議会で】

三重県議会6月定例月会議は12日、下野幸助(新政みえ、4期、鈴鹿市選出)、龍神啓介(自民党、1期、津市)、中瀬古初美(新政みえ、3期、松阪市)、山本教和(自民党、10期、志摩市)の4議員が一般質問した。県は障害者雇用の理解促進を目的に、平成26年から県総合文化センター(津市一身田上津部田)に設けているカフェの運営を12月末で終えると報告。「障害者が働けるカフェが県内31カ所に増え、役割を終えた」としている。中瀬古議員への答弁。

地籍調査、どう進める

下野 幸助議員(新政みえ)

土地の境界を明確化する地籍調査が「ほとんど進んでいない」とし、今後の進め方を尋ねた。一見知事は野呂幸利副知事を取り組みの司令塔として、調査の進捗(しんちょく)を高める考えを示した。

【地籍調査】
下野議員 2年前にも地籍調査に関する質問をしたが、ほとんど進んでいない。令和5年度末時点での進捗率は10%で、全国ワースト2位。今のペースだと、全て終えるのに900年かかる。どう進めるか。

知事 地籍調査の終了が900年先で良いはずがない。昨年度から市町への予算を増やしたので進捗率が上がることを期待するが、必要なのは首長の本気度。野呂副知事をリーダーとし、先進地域に学びながら市町長らと進めたい。

【人口減】
下野議員 県内の人口は昨年、概数で約2万人減少した。令和元年からの5年間で約8万人が減少している。2060年代には100万人、2120年ごろには40万人ほどになると推計される。県の分析は。

小見山政策企画部長 依然として転出超過が厳しい。昨年は女性の傾向に大きな変化はなかったが、男性は20―40代の転出が大きく増えて九州への転出が拡大するなど、これまでと異なる傾向があった。要因の分析を進める。

情報通信誘致の全容は 

龍神 啓介議員(自民党)

情報通信産業を誘致する事業の全容を尋ねた。県当局は本社から離れた小規模の「サテライトオフィス」を誘致する想定を示しつつ、将来的には本社機能の誘致も目指すと説明した。

【企業誘致】
龍神議員 県は人口環流を目的に情報通信産業の誘致を目指すが、ターゲットや規模などの全体像が見えづらい。企業に県内立地のメリットを提示しないと、なかなか難しい。どのような誘致を想定しているのか。

松下雇用経済部長 ソフトウエアを開発する企業や、AI(人工知能)を活用してサービスを提供するIT企業の誘致に取り組む。オフィスの賃借や改修を支援する。まずはサテライトオフィスを想定しつつ、本社機能の移転にもつなげたい。

【就職情報】
龍神議員 若者からは「県内にどんな企業があるのかが分からない」という声を聞く。ラインなどを通じて積極的に発信するサービスも良いが、利用者が情報を取りに行けるプル型のサービスも充実させてほしい。

松下雇用経済部長 大学のキャリアセンターからも「さまざまなサイトがあって就職支援情報を把握しにくい」との声があった。学生が情報を一元的に把握できるサイト「みえの仕事さがしチャンネル」の運用を4月に始めた。周知に努める。

認知症ネット円滑運用を

中瀬古 初美議員(新政みえ)

行方不明者の早期発見に向け、市町などが情報を共有する「認知症高齢者SOSネットワーク」の円滑な運用を求めた。県当局はネットワークの制度や役割の周知などに努める考えを示した。

【障害者雇用】
中瀬古議員 障害者と共に働くことが当たり前となる社会に向け、企業や県民への理解促進が重要。障害者雇用率や順位も大事だが、中身が伴わなければならない。生き生きと働く障害者と出会う場が必要だと思う。

松下雇用経済部長 総合文化センターにカフェを設け、障害者が働く新しい可能性を見つける場として運営してきた。これまでに約16万5千人が訪れ、12月末で役割を終えることにした。今後は地域のカフェを紹介するイベントを開く。

【行方不明】
中瀬古議員 「認知症高齢者SOSネットワーク」の運用状況を聞き取ったところ「ネットワークを知らない」と答えた市町があった。整備していても、機能しなければ無いのと同じ。県の役割や今後の取り組みは。

松浦医療保健部長 県外への捜索協力の依頼などで支援しているが、市町の取り組みに濃淡があるほか、県の支援に「もう少し」との声もある。ネットワークの周知や役割の共有を図る。市町の取り組みを把握し、好事例を展開する。

経済発展への手だては

山本 教和議員(自民党)

「リーディングカンパニーだった東芝が苦戦している」とし、県内経済の発展に向けた手だてを尋ねた。一見知事は「半導体が一つの鍵」とし、半導体関連企業の誘致に努める考えを示した。

【人口減】
山本議員 一見知事は先月、宮崎県で将来世代応援知事同盟の会議に出席し、人口減対策に向けて危機感のある声明を出した。一見知事が全国の先頭に立って活動してほしい。知事の強い思いを聞かせてほしい。

知事 決して中心ではないが、同じ霞が関で働いていた知事との人脈や経験を生かして議論している。やれる対策は限られているが、最大のポイントは県内に就職先が少ないこと。特に女性。われわれが国を動かさないと国が沈没する。

【経済発展】
山本議員 リーディングカンパニーだった東芝が苦戦する一方、半導体に注目が集まっている。無い物ねだりはできないが、熊本ではTSMCが盛況。県内にも優秀な中小企業は多い。経済発展への有効な手だては。

知事 東芝はキオクシアとしてよみがえろうとしている。半導体は経済発展に向けた鍵の一つ。県内には豊富な水や安定した電力という製造のメリットがあり、3つの高等専門学校もある。半導体企業を県に誘致し、経済発展につなげたい。