国宝「船形埴輪」が里帰り 松阪・はにわ館で展示再開、都内特別展終え

【東京国立博物館から松阪市文化財センターに戻ってきた船形埴輪の設置作業=同市外五曲町で(同センター提供)】

【松阪】三重県の松阪市は30日から、同市外五曲町の市文化財センターはにわ館で、国宝指定が決まった同市所有の船形埴輪(はにわ)の展示を再開する。入館料は110円、18歳以下無料。

同市宝塚町・光町の宝塚一号墳(5世紀初め)から出土した船形埴輪や家・囲形埴輪など278点は3月15日、国の文化審議会が「三重県宝塚一号墳出土埴輪」として国宝指定を答申。東京国立博物館の特別企画「新指定 国宝・重要文化財」で披露された。

船形埴輪は日本最大級の全長約1・4メートル。台座を含め高さ94センチ。9割以上が残る。船内に大刀(たち)や蓋(きぬがさ)をかたどった飾りが立つ。全体は赤い塗料「ベンガラ」で塗られ、一部残っている。

同センターでは1月14日を最後に船形埴輪などの展示を中止し、東京へ搬入した。今月27日に戻った。来館者が埴輪に触れないようにロープを渡して仕切りを設けた。夏に国宝記念展を開く。

福田哲也所長は「職員一同、国宝決定の喜びとともに、大切なものを扱うという緊張感をもって業務に当たる」と話していた。