▼画期的な試みか、刀折れ、矢が尽きたことの必然か―県教育委員会がどちらかと言えば“敵視”してきたフリースクールへ通う児童生徒に補助金を交付する
▼毎年1校分の生徒が消えていくと言われる不登校問題。県教委が何の手も打たなかったとは言わないが、いずれの対策も、基本的目標は「学校へ戻す」ことで“成果”の数を公表したりもした。心に深く傷を負った人間が、回復したかに見えても原因環境に戻ると再び発症するケースが多いことを認めない、あるいはルール上無視してきた
▼優先されるのは学校側のルールであることは、例えば不登校生徒ら専門の学校を開校した時もそうだった。定数割れ常習の前身校から人気校に変わって、教職員の対応も、ルールから外れた多様な不登校生徒の事情に親身に寄り添う姿勢が消えた
▼コロナ禍で不登校児童生徒の数が急増したことがフリースクールへの支援のきっかけという。平成30年度からの4年間で公立小で2倍の1356人、公立中では約1・5倍の2489人、県立高で1・4倍の980人
▼尋常の数字ではないが、実施にあたっては時期的なものもあっただろうか。不登校児童生徒が発生するのは年間で一番多いのが夏休み後で、続いて5月連休後とされる。連休後の状況に、このまま座して夏休みを迎えるわけにはいかないと決断したのかもしれない
▼県立高の転校試験は4月で5月連休後や夏休み後はなかった。フリースクールへの支援を契機に、ルール、教職員の意識も変えていく必要がある。