27年の介護体験を1冊に 東員町の清水さんが本出版 三重

【「お役に立てれば」と本を手に取る清水さん=東員町笹尾西で】

【員弁郡】東員町笹尾西の清水益女(ますみ)さん(84)が、介護体験をつづった本「花開く日々」(文芸社)を自費出版した。平成8年に脳出血で倒れた夫義一さん(90)を、27年にわたって自宅で介護している。「介護で大変な思いをしている人、介護をこれからする人のお役に立てれば」と話す。

27年もの間書き続けてきた介護日記をもとに、一部加筆した。義一さんの介護をしながら無理のない範囲で、ボランティア活動にも取り組んでいる。登校する児童の見守りや、デイサービスセンターを利用する高齢者の話し相手になったり。活動歴は30年余になり、「ボランティアは生きがい」という。長年の活動が認められ、昨年11月に「緑綬褒章」を受章した。本は介護についてだけでなく、ボランティア活動や、生い立ちから自身と2人の子どもの結婚、孫の誕生などにも触れ、自叙伝にもなっている。

介護というと、つらい、きつい、苦しい…などといったネガティブなイメージがつきものだが、自らの経験を振り返り、「気持ちが前向きであれば、なんとかなる」

不安に襲われたことも、もちろんあった。「くよくよするのはよそう。これが私の生活。介護する側もされる側も大変だけど、一緒に頑張ろう」。そう思えるようになって、楽になった。

自宅で介護をしている人に対して「介護サービスを利用して、重荷に思わず、前向きであってほしい」と呼びかけた。

1000部作った。四六判並製で132ページ。税込み1100円。ネット通販「アマゾン」で購入できる。コメリ書房鈴鹿店(鈴鹿市)、別所書店修成店(津市)などの県内の一部書店でも取り扱っている。