【津】三重県津市広明町の不動産鑑定士、丸山喜平(よしひら)さん(84)が、半世紀にわたる経験を基にまとめた著作「空家・空地・負動産 どうなるニッポンの土地」を、伊勢新聞社から出版した。四六判190ページ。税別1200円。
丸山さんは熊野市飛鳥町出身で早稲田大法学部を卒業後不動産鑑定士として活動。32歳で故郷の三重に戻り、45歳で「コクド鑑定・調査」を設立した。
著書は都市と地方の地価格差が広がり全国で農地や山林の相続放棄が増える現状について「今議論しなくては手遅れになる」と自身の見解をまとめた。
①高度経済成長と地価暴騰②冬の時代に突入した土地資産「負(・)動産」③経済成長政策に翻弄された国土計画④土地資源論―の4章からなる。
憲法第29条で土地を「財産」と位置づけたことを「一面的」と断じ「国土は単に経済的価値だけの存在ではない」「国民共通の資源として守られてゆく認識が重要」と指摘する。
土地の境界や面積を明確にする「地籍調査」が都道府県によって大きな開きがある現状を問題視し、航空測量など大規模な調査の必要性を説く。
丸山さんは「土地はいろんなものを生み出す『資源』という観点で日本の国づくり、土地問題を整理してほしい」と切望し「地方で声を上げられない人の代わりに書いた。市会議員や県会議員など政治家に読んでもらいたい」と力を込めた。
アマゾン公式サイトで購入可能。問い合わせは伊勢新聞社=電話059(224)0003=へ。
※「負(・)動産」の「(・)」は文字の脇につける強調を表す圏点