2024年3月28日(木)

▼小林製薬製の紅こうじ原料を含むサプリメントが原因とみられる健康被害が相次ぎ、消費者庁はこれまで届け出た機能性表示食品約7千点の全てを総点検すると発表した。健康に役立つとお墨付きを与えた食品が実は毒だったかも知れないというのだ。狼狽(ろうばい)ぶりがうかがえる

▼かつてリサイクル製品として県が認可した土壌埋め戻し材が実は毒性が強い産業廃棄物で、使用した他県に対しバツの悪い思いをしたことがよみがえる。総点検といっても、届け出事業者に健康被害の有無を問い合わせるなどだから、それほどのことはないのかもしれない

▼世は健康食品、サプリメントばやりだ。テレビなどで著名なタレントが効用を説けばたちまちスーパーの店頭からその食品が消える。つい最近も、人気俳優が発酵食品のよさを説き、納豆は最低百回は混ぜるなどと言って、気のせいか品薄になった

▼「心臓、肝臓、腎臓の病気を持っていて、納豆を控えなければならない人もいるわけで」と、亀山で開業している老女医が、県医師会の会報に書いていた。水の代わりに毎日牛乳を二リットル飲めとニュースキャスターが番組で勧めたと患者が言ったそうだ。牛乳にはバターが入っていて、実行したら月に70キログラム摂取することになる。たちまちコレステロール値が急上昇しかねない。多すぎる健康食品のCMを心配しながら見ている

▼きざみネギ、ワサビ、ショウガ、刺し身に大根の細切り―私たちは和食、つまり「栄養補助食品=サプリメント」を、伝統的に食べてきた民族だと言っている。