【津】三重県津市羽所町の東海眼科理事長の中井（本名・前沢）義秀氏(76)はこのほど、地域の医療現場で住民の生活を支える医師を顕彰する「第12回赤ひげ大賞」（日本医師会など主催）の「赤ひげ功労賞」を受賞した。「赤ひげというと内科のイメージだったが、眼科医でも一生懸命やっていたら評価してくれる方がいる」と喜ぶ。
同大賞は平成24年に創設。江戸中期に小石川養生所で活躍した小川笙船（しょうせん）をモデルにした山本周五郎の時代小説「赤ひげ診療譚（たん）」が命名の由来で、毎年各都道府県医師会が１名を推薦した中から選ばれる。功労賞は14人が受賞した。
中井氏は名張市の耳鼻科医の家庭に育ち、昭和50年から同61年まで三重大の眼科に勤務。同年に東海眼科を設立した。自身の父が夜中に地域の急患に対応する姿を見て育った原体験があり、開業当初からこれまで救急24時間対応を継続している。
一日の外来患者は約280人、年間の時間外や深夜受付は２千人を超える。総勢70人のスタッフと、当直を助ける三重大の医師と共に地域の眼科医療を支えており「良くなった患者さんが喜んで帰られるのはうれしい」と話す。
最新の技術を学ぼうと米国の眼科学会で発表を重ね、ケニアでの医療支援にも参加。学び続ける姿勢は眼科医となって故郷に戻った自身の長男、長女に見せたい思いもある。
受賞を「今後の励みになる」としつつ、あくまで自然体。「無理はせず一日一日を過ごし、スタッフが誇りを持って働ける場所にしたい」と力を込めた。